3日の日本市場では円相場が大幅上昇。トランプ米大統領が日本に対して24%の関税を課すと発表し、リスク回避の動きでドルを含む主要10通貨に対して全面的に買われている。企業業績への悪影響が警戒され株式は急落、安全資産への需要で債券は上昇している。
関税の詳細を受けた日本市場は大荒れの展開で始まった。円の対ドル上昇率は一時1%を超え、主要株価指数は4%以上下落。新発10年国債利回りは10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)超低下した。
三菱UFJ信託銀行ニューヨーク支店資金証券室のファーストバイスプレジデント、小野寺孝文氏は、日本に対する関税は思ったより大きかったと指摘。株安の水準次第で円は1ドル=145円台まで上昇する可能性もあるとみている。
トランプ氏は2日、米国への全輸出国に最低10%の関税を賦課し、日本など対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域には一段と高い関税率を適用すると発言した。ホワイトハウスの発表によると、最低関税は米東部時間5日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)、上乗せ分は9日午前0時1分に適用される。
- 東証株価指数(TOPIX)は前日比3.0%安の2571.16
- 日経平均株価は3.0%安の3万4661円65銭
- いずれも一時4%を超える下げ
為替
東京外国為替市場の円相場は一時147円台後半に上昇。トランプ米大統領の関税発表を受けてリスク回避の円買いが強まった。
三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、対日関税が24%と予想よりかなり大きいため、株安を通じたリスク回避により円高が進みやすいと指摘。ドル・円は「株安のインパクト次第で、目先1週間くらいで145円割れも視野に入ってくる」と述べた。
株式
東京株式相場は大幅安。トランプ米政権による相互関税の発表を受け、景気減速懸念から世界的なリスク回避の動きが広がっている。外国為替市場で円がドルに対して急伸したことも相場の重し。関税の直接的な影響が懸念される半導体や自動車関連株を中心に、東京証券取引所の全33業種が下げている。
ATグローバル・マーケッツのチーフ・アナリスト、ニック・トワイデール氏は、相互関税は全体的に予想よりも厳しい結果で、日本やアジアのほとんどの国にとって打撃となったと指摘。投資家は内需関連株やディフェンシブ株に価値を見いだすとしながらも、同氏は株式全体に対して弱気と述べた。
債券
債券相場は大幅高。トランプ米大統領の相互関税政策の発表を受けて、安全資産需要の高まりから買いが優勢だ。
三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは「関税策は想定以上に厳しい内容で国内景気にマイナスの影響を及ぼすとみられ、債券相場は高値圏でもみ合う」と述べた。
著者:日高正裕、横山桃花、山中英典