東京株式市場の2024年は、最後の取引日である12月30日の大納会で日経平均株価の終値が3万9894円となり、年末値で35年ぶりに最高値を更新した。ただ、年間を通じた高値は7月11日につけた4万2224円で、夏場以降はモミ合いの展開が続いた。2025年の出足は1月20日にアメリカのトランプ大統領就任を控える中で、先行きへの警戒感が浮上する場面も出てきそうだ。
そこで今回は、12月18日(水)発売の『会社四季報プロ500』2025年新春号に掲載した企業の中から、発売直後の株価パフォーマンスが好調な銘柄を紹介したい。全体相場が揺れる中でも、足元の株価が堅調な銘柄においては、相対的に手堅い展開を期待できるはず。
『プロ500』は、編集部が全上場企業から、四季報業績予想や株価チャートなどを分析し、有望と判断した500社を厳選しており、先高感が強い銘柄を発見するためのヒントになるだろう。
「本命銘柄70」に選出
Mipox<マイポックス>(5381)は、研磨テープや研磨パッド、液体研磨剤の大手で、『プロ500』新春号発売の前営業日である2024年12月17日から、大納会の30日までの期間内における最高値の株価上昇率が15.7%と好調だった。『プロ500』新春号では、500社の中でもとくに注目の「本命銘柄70」にも選出している。
同社は栃木県に本社を構え、HDDや半導体ウェハ、光ファイバー向けを主力としている。2025年3月期はデータセンターへの投資拡大が追い風となり、光ファイバーやHDD向けに好採算のハイテク研磨剤が好調だ。
2024年11月14日には2024年4~9月期(上期)決算を発表するのに合わせて、通期の営業利益予想を従来の7億円から9億円(前期は4.4億円の営業赤字)に引き上げて、8月に続き今期2度目の上方修正に踏み出した。
データセンター投資が追い風
なお、売上高は100億円、為替差損の発生を受けて純利益は6億円と、それぞれ従来予想を据え置いている。同時に、「未定」としていた配当については、10円配の復配を発表した。
同社の発表資料では「世界的なデータセンター投資が活況を呈し、それに伴い光ファイバーおよびハードディスク市場が好調」と説明。利益率の高いハイテク関連製品が伸びたことが、売上高予想が据え置きだった一方で営業利益予想を上方修正する要因となった。
企業の扱うデータの増大や、生成AIの利用拡大を受けて、データセンター関連の需要は当面拡大すると見られており、業績拡大に向けての事業環境は良好だと言えるだろう。
上方修正を好感し株価反発
株価(上のチャート参照)は2024年9月高値788円をつけた後、26週線近辺までの値幅調整入り。その後、業績予想の上方修正や復配を好感して反発し、12月27日には783円までつけた。前期赤字からの業績V字回復実現の確度が高まってきたことを受けて、9月以降は13週、26週、52週の移動平均線も順並びに転換している。調整を挟みながら上昇基調での推移を期待しやすい状況で、2024年9月高値を上抜けば上昇力に一段の弾みがつきそうだ。
『プロ500』新春号の投資テーマでは、「半導体/電子部品(電子材料)」や「注目技術(EV関連)」などの対象企業としても、同社を選んでいる。そのほかにも誌面では「インフラ投資拡大」や「好業績」「高配当/連続増配」「クオリティ・グロース」など12テーマに関連する企業を紹介している。株価の伸びを期待できそうな有望銘柄の発掘に役立てていただければ幸いだ。
(『会社四季報プロ500』編集長)