政府が追加物価高対策を9日発表へ、資源や原材料高騰

今月下旬には予備費3兆円超措置
(写真:ブルームバーグ)

政府は9日、「物価・賃金・生活総合対策本部」を開き、追加の物価高対策を取りまとめる。ロシアによるウクライナ侵略の長期化などに伴い資源や原材料価格が高止まり、円が対ドルで24年ぶり安値を更新する中、企業や家計の経済的負担の軽減を図る。

物価高騰への対応として、ガソリン補助金の期限を9月末から12月末へ延長し、輸入小麦の政府売り渡し価格も据え置く。住民税非課税世帯を対象に1世帯5万円を給付し、地方創生臨時交付金を6000億円増額する。今月下旬にはコロナ・物価対策で3兆円半ばの予備費を措置する。岸田文雄首相が8日、明らかにした。

岸田首相は「危機感を持って、切れ目のない対策を行っていく」として、10月に総合経済対策を策定することも表明した。

共同通信が8月に実施した世論調査によれば、物価高に対する岸田首相の対応について「評価しない」が67.4%と、「評価する」の25.4%を大きく上回った。最優先で取り組むべき課題は「物価高対策を含む経済政策」が44.9%で最も多かった。

資源高や円安進行を背景に8月の輸入物価指数(円ベース)の前年比上昇率は48.0%と比較可能な1981年以降で最大の伸びを記録。コスト上昇分を価格に転嫁する企業も増え、全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は同2.4%と日本銀行が目標とする水準の2%を4カ月連続で上回っている。エコノミストの間では年内に3%に達するとの見方も広がりつつある。

SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは7日付リポートで、「物価高対策は相応に効果を発揮するものの、年内は輸入コスト上昇の転嫁を主因とした物価の上昇加速が続く」と予想。物価高対策を前提にしても、10-12月期のコアCPI前年比は3%付近に達するとみている。

円安が物価高に追い打ち

外国為替市場では7日に円が対ドルで一時1ドル=144円99銭と、1998年8月以来の安値を更新した。米国など海外と日本との金融政策の違いを背景に円の先安観は根強く、円売りの流れが続いている。

インフレ抑制へ金融引き締めを急ぐ欧米中銀とは対照的に、日銀は現時点で緩和姿勢を崩していない。黒田東彦総裁は8月、米カンザスシティー連銀主催のジャクソンホール(ワイオミング州)会合で、日本のインフレのほぼ全てが商品価格上昇によるものだとし、日銀は金融緩和策を維持する必要があるとの見解を示している。

野村総合研究所の木内英登エグゼクティブ・エコノミストは7日付リポートで、物価高の長期化懸念を和らげることも経済の安定維持の観点からは重要で、「それは本来、金融政策が担うべき領域」と指摘。日銀が「金融政策の柔軟化を伴う形で、中長期の物価安定に対するコミットメントを改めて強く示すこと」に期待を示した。

著者:関根裕之

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