カリスマ投資家が伝授! 株の攻め方 守り方

2人のカリスマ投資家が勝利の秘訣を語った。
2013/12/10 13:00

値上がりすると期待して持ち続けたら急落、そろそろ下落するだろうと買い控えていたら株価が2倍になって手を出せず──。まさに「生き馬の目を抜く」株式市場で、個人投資家が利益を手にするためにはどうすべきか。まずはキャリア20年以上のサラリーマン投資家で、投資セミナーの講師も務めるJACK氏に売買のコツを聞いた。

長く続けるためには勝ち癖をつけておく

株式投資はメンタル面が特に重要だ
キャリア20年以上のサラリーマン投資家
JACK(ジャック)
40代サラリーマン投資家。FX、不動産にも投資。『サラリーマンの月収をらくらく20万円増やす方法』など著書多数。

JACK氏が真っ先に強調したのが、「利益確定の癖をつけること」だ。少しでも利益を手にしておくと心の余裕につながり、「保有株が大きく下落した場合に損失確定の売りを決断しやすい」というのがその理由だ。

「株式投資はメンタル(精神)勝負。精神面を鍛える前に損を出しすぎると、自分は向いていないと考えてやめてしまいがち」。長く続けるために、投資経験が浅い人ほどこまめに利益を確定し、勝ち癖をつけておくことが大事だという。利益確定のタイミングは、「まずは欲張らずに買値から5〜10%上昇を目安にしては」とのことだ。

また、「一つの銘柄にほれ込みすぎるのは危険」とも指摘する。JACK氏には苦い経験がある。10年ほど前、りそな銀行の前身、あさひ銀行のリテールの強さに注目。株価が下がると買い増していたが、100円を割り込むと下落に拍車がかかった。しかし、わずかな望みが頭から離れず売りそびれ、結局、損失が数百万円に膨らんだ。

そのとき、「人間、自分の間違いはなかなか認められないことを痛感した」と言う。こうした経験から、著書などでは、株を買う場合は、「1銘柄で全力勝負は禁物。買うタイミングも複数回に分散したほうがいい」とアドバイスしている。

業績が良好な銘柄でも、好決算を発表した直後に下落する場合があり、反対に決算内容がよくなくても上昇することがある。「普通に考えると理解に苦しむが、投資家はつねに先回りして売買している。理屈どおりにいかないのが株式市場であり、『絶対』はないということを、しっかり頭に入れておきたい」。

では、利益を伸ばすにはどうしたらいいか。「永遠に上昇を続ける株などないのだから、株価が安いときに買うに尽きる。バーゲンセールで得をするのと一緒」とのことだ。たとえば、「目をつけた銘柄が10〜20あったとすると、日経平均株価が大きく下がったときに下げ幅が小さかった銘柄を買う。下落局面でも比較的多くの買いが入っている証拠で、その後の株価の戻りも期待できる」。

もっとも、「株価が気になって仕事が手につかない人は、株式投資には向いていない。不動産や外貨、金の積み立てなどほかの分野にチャレンジしたほうがいい」とのことだ。

カリスマ投資家の投資術とは?

個人投資家は長い時間軸で考えたい
65万円を2000倍に増やした伝説的投資家
片山 晃(かたやま・あきら)
2005年に株式投資を始め、資産13億円に。13年からレオス・キャピタルワークスのシニアアナリスト。

株式投資の魅力といえば、株価上昇で手にする値上がり益。タイミングよく売買すれば、2倍、3倍も夢ではないが、中には億円単位の利益を上げるカリスマ投資家もいる。その一人が「五月さん」としてブログでも話題になった片山晃氏だ。

現在は運用会社、レオス・キャピタルワークスのアナリストを務める片山氏だが、昨年までは専業投資家だった。2005年に23歳で株式投資を始め、8年間で当初の投資金額65万円を2000倍の13億円まで増やすことに成功。06年のライブドアショック、08年のリーマンショックなどをくぐり抜けて、どのように利益を上げてきたのだろうか。

暴落時は信用取引を使ったカラ売りに徹し、「わずかに利益が出たら買い戻して手仕舞う超短期トレードで、少額の儲けを積み重ねた」と言う。しかし、混乱相場でこそ有効だったこの手法は、投げ売りが一巡すると利益を上げにくくなった。

そこで注目したのが企業業績。「決算書を見ると株価が大幅に値下がりしているにもかかわらず、それほど業績の悪くない銘柄が少なくなかった」からだ。リーマンショック後の戻り相場では、株価指標で割安な銘柄を中心に売買。さらに、10年から東京証券取引所で超高速取引に対応した新システム「アローヘッド」が導入され、個人投資家がデイトレードで利益を上げことが難しくなったため、「投資の時間軸を長めに取るようになった」。

特に着目したのは中小型株だ。ショック後の戻り相場では国際的に名が知られた時価総額の大きい銘柄から買い戻される傾向があるため、有望な中小型株でも上昇のタイミングは遅れることが多いためだ。

こうした観点で買いを入れた銘柄の一つが東証2部上場の自動車部品工業。「四半期決算が明らかに改善しているのに、株価下落が続いていた」からだ。その後、同社の株価は半年足らずで3倍に値上がりした。それからは、「会社が発表する決算短信を四半期ごとにチェック。業績の変化が大きい企業を見つけ出し、3年後の業績予想を立てて銘柄選びの判断材料にした」と言う。

先を読む作業が株式投資の醍醐味

暴落相場を経験し、片山氏は相場の変化に振り回されるデイトレードから、業績分析に基づくオーソドックスな投資スタイルに変更。そして「資産の増減に一喜一憂することに疑問を感じるようになった」ことからアナリストに転身した。

自身の経験を基にした個人投資家へのアドバイスは、「そのときのテーマ、材料に過度に踊らされないように、長い時間軸で臨んだほうがよい」だ。たとえば東京オリンピック関連株が人気化しているが、「開催は7年後。そのときにどういう世の中になっているか。オリンピックでは巨額マネーが動き、都市機能などさまざまなものが新しくなるタイミング。見逃されている有望企業もあるはずで、こうした先を読む作業が株式投資の楽しみであり醍醐味」と言う。

そのうえで、「買いには根拠を持つことが必要。何げなく買うと下落したときに対処できなくなる。業績動向など自分の思い描いたシナリオが間違っていたならば損切りしやすい。シナリオが崩れていないなら、下落時に買い増すという判断もできる」とし、なぜその株を買うのか自問自答してほしいと述べる。

「今年は株式投資で儲かった人の話をよく聞くが、長年の努力の積み重ねが結実した人が多い。投資成績は投資にかけられる時間、見ていられる時間に比例する面もある。相場が悪い時期は見ているだけでもいい」。株式投資も継続こそ力なりだ。

週刊東洋経済2013年10月5日号

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